丹後地方は1300年以上前から絹織物の産地であった歴史をもちます。
江戸時代に京都西陣で「お召ちりめん」が誕生した後、丹後の織物は「田舎絹」と呼ばれ、売れ行きが低迷。農業の凶作と重なり、人々の生活は極めて困窮しました。その危機を乗り越えようと絹屋佐平治（現：京丹後市字峰山町）が 京都西陣に赴き、ちりめん織りの技術を持ち帰り独自のちりめん技法を会得しました。

その後、時同じくして木綿屋六右衛門（現：与謝野町字後野）、手米屋小右衛門（現：与謝野町字加悦）と山本屋佐兵 衛（現：与謝野町字三河内）が西陣にてちりめん技術を会得し、帰郷後、 独特の「シボ（生地の凹凸）」を持ったち りめんの生産に成功。これが丹後ちりめんの始まりとなったのです。彼らはその技術を地域の人々に惜しみなく教え、 瞬く間に丹後一円に広まりました。
丹後の職人たちは約300年の間、各時代の和装シーンに合わせいくつもの主流商品を生み出してきました。生地が透け て見える組ちりめん、色糸・金銀糸などを織り込む縫取ちりめん、上品な光沢を放つ緞子ちりめんなど、撚糸と織り技 術の応用によって様々な「表情〈テクスチャー〉」の素材が誕生しました。
その結果、戦前から丹後は日本一の絹織物生産地となり、今やそのシェアは全国の約70 ％にも上ります。そしてその 挑戦は、今もなお続いています。

与謝野町を含む丹後地域は、現在も国内の着物の生地（和装用表白生地）の約70％を生産し、生糸の3割以上を消費す る国内最大の絹織物産地です。（70%の内容は上段に同じ内容記載ありますが）
「丹後ちりめん」の優れた織りの技術は現代に受け継がれ、和装だけでなく、洋装の服地のほか、スカーフ等の小物や 壁紙、インテリア用品等にも活用されています

また、水に濡れても縮みにくく、摩擦に強いハイパーガード加工技術や、ポリエステルちりめんの開発など、事業者ご とに特徴のある様々な分野の織物へ展開しており、約300年に渡り継承される「丹後ちりめん」が育んだ織物の歴史と 文化は、人々の不断の努力により、今も町内に響く機織りの音とともに次世代へと紡がれてます。

与謝野町では基幹産業である「織物業」の生産基盤を維持するべく、織手の職人養成に取り組んでいます。
与謝野町字四辻にある与謝野町織物技能訓練センター。ここでは熟練した織物技術者２名を配置し、町内の織物事業者 に就職する織手をマンツーマン指導で育成しています。
近年では、関連産業の担い手不足も顕著にあらわれているため、経て繋ぎや織機調整、整経等の基本的な作業について も学ぶことができる施設として管理運営しています。